小笠原藤右衛門 コンセプト
『現代の献上品』を創造する想い
現代の献上品、ここでいう献上品の意味は、人が生活している中でここぞ大切!大事!心をこめて、真心を込めて!といった時に、あの人のために差し上げるものという意味です。結婚する孫娘に祖母から、合格した後輩に先輩から、退職した父に娘達からといったシーンには、現代の心からの献上品が必要かな、 いやそうあってほしいと思います。
現代の献上品に選んでいただく為に、普段制作している商品は三つの価値を持ち合わせていなければならないと思います。
一つ目は歴史的価値、江戸時代初めて献上磁器が作られた肥前大川内山という地で
同じ場所から生まれる磁器であること、 二つ目は審美的価値。鍋島がなぜ評価されたかを考えると時代を越え、しっかりとした審美的センスを踏まえて制作された商品であったことと言えると思います。
よって、デザインには細心の注意を払い、最大の労を惜しんではならないと考えます。
三つ目は、技術的価値。ともすると伝統的な技術を軽視しがちな傾向にある現代において、あえて伝統技術の習得・継承に努めることは非常な困難を伴うけれども、必ず皆様の評価を頂けるものと信じています。
以上三つの価値を持った新しい製品を制作することを目指します。
無鉛化の取組み
最近の陶磁器業界では、上絵に使用する微量の鉛が問題視されています。行政は有鉛絵の具から無鉛絵の具への切替を促したいのですが、ここ十年余り変化は見られないのが現状です。原因としては「上絵の色艶・発色が無鉛絵の具では劣る事・描画の難しさ・コスト高」が挙げられます。加えて、九十年代からの経済の低迷が影響しているものと思われます。
藤右衛門窯では「お客様の安全・安心を最優先」との思いで平成11年から業界に先駆け、すべての製品に無鉛絵の具を使用することにしました。
私共は先人から継承した伝統の中に現代に通じる普遍性・新鮮さを見い出しつつも、時代が生み出す新しい価値や要請には迅速に応えます「ものづくり」をしていきたいと考えているからです。そしてお客様より「新しい鍋島様式の形」として御評価頂けます様、日々研鑽に励みたいと思います。
小笠原藤右衛門窯について
小笠原藤右衛門は、廃藩置県で鍋島藩が廃止された後、その流れを引き継ぎ民窯として独立し、一貫して鍋島の伝統技術を守り続け今日に至っております。今日鍋島様式の陶磁器を制作するにあたって、私共は往時鍋島のその精微さ・格調の高さを模範としながら、より現代にふさわしい物づくりを致す様努めております。
現在の当主は、初代御用工人小笠原藤右衛門より数えて八代目に当たります。全国のお客様方には謹んでご挨拶申し上げますと共に、ご期待に添うべく日夜研鑽重ねて参ります故、ご愛顧を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。